幸せはどこに?

インドのバラナシのホテルで、朝になると中央でインドの笛の演奏が始まります。

その演奏をしているこの方が、私の方を見て、目を閉じてどんな感じがするか感じてくださいと、(多分そういったのだと思います、、、インド人の英語、私には難しいのですが)

本当にいい音色で、体にスーッと入り込んで落ち着けてくれるような不思議な感覚でした。

「どうでしたか?」と聞かれたので、「すごくいい気持ちです」と言いました。

彼は、にっこり笑って、「これは瞑想のための音楽なのですよ」と言っていたようでした。

 

今でもこの笛の音色は思い出すことができます。

体で音を聴く、、、まさにそんな感じです。そして、それは本当に気持ちがいい。体の中を音が通り抜けていく、、、響きながら通り抜けていく感覚が、音のマッサージのようでもありました。

 

このホテルは、中央が吹き抜けになっていて、ここは二階です。天井はガラスなので、光が中心に柱のように通っています。光と音、、、美しいです。

 

今日は、年に二回春と秋に小田原市いこいの森で開かれている「森ヨガ」の日でした。7年ほど前にお話をいただき、みんなで考えて「森ヨガ」という名前をつけて始めたイベントですが、もう15回ほど続いています。

今日はよく晴れて、五月の美しい緑の中でヨガとランチをみなさんで楽しみました。

 

私のヨガのガイドは、いつでも「今」「この瞬間」の身体と呼吸に意識を向けることを徹底して行います。素直にやってくだされば、終わった頃には、力が抜けて、頭の中が静かになって、気持ち良く穏やかになると思います。

 

殆ど多くの方は、無意識ではありますが、今ではなく先へ先へ行こうと、意識もエネルギーも次の瞬間に向けています。でもそれですと、永遠に今この瞬間にくつろぐ、、、つまり今ある幸せに気づくことはないのが現実です。「だって忙しいから!」という声が聞こえてきそうですが、

ほとんどの時間、今ではなく次の瞬間、または明日、もっとその先へ気持ちが奪われているのではないでしょうか。試しに、じっと止まって、何も考えず、今、目の前に見えているものを見て、聞こえている音を聞いて、何か食べていたらそれをじっくり味わって、肌に触れている風や服の感触を味わってみてください。

しばらくそうしていられるでしょうか?

 

もしすぐに、思考が動き始めて、こんなことしてないで、しなくてはいけないことをやらないと、、、と焦ってしまうようでしたら、それが自分の生き方として定着しているということです。

そして、今ではなく、先に自分を幸せにしてくれる何かがあると無意識に思って生きている証拠です。

今よりも、先のことが大事だと思って生きているのです。今を生きていないので、気付かない限り、ずっとその生き方のまま一生終わります。ある意味幸せを探し続けて終わるのです。今を生きないまま終わるのです。

 

ですが、もし、幸せになりたかったら、今 を感じて、味わって、今に生きる「在る」しか方法はありませんし、その「今」にだけ、自分が幸せであれる場があるのだと気づくことができる。

人生は、何かや誰かが幸せにしてくれるわけではなく、今、幸せであることができるその自分に気づくこと、今、幸せであったということに気づくことが大切なのです。

 

言葉で書くとわかりにくいでしょうか?

 

「今この瞬間」に意識を開いて感じる力をつける、気づく力をつけていく練習が私の伝えているヨガの練習かもしれません。すでに幸せである自分に気づく練習。。。

 

インドの笛の奏者の方は、自分が演奏するだけでなく、聴いている人を音の中に導き入れることができる人でした。「感じてみてください」、、、というのは、まさに今に意識を開いて受け取ってください、ということですから。そして今共にここにいることを味わいましょう。。。。今現れていることを受け取りましょう。この瞬間は、あっという間に過去になってしまいますが、今私たちはここでともに生きて感じることができますね。。。と、そんなふうに私には感じられました。